フィッシュボーンによる挿し木の根育テスト。

挿し木苗の根の発生量をふやし、すばやく生長させることは、

病気に強く多収穫なプラントに育てるための第一条件です。

エアロポニック・システムによるクローンマシーンで、わずかに発根させた苗を

EC値0.7mS/㎠  |  pH値5.8  の培養液にフィッシュボーンを加えたものと、

EC値0.7mS/㎠  |  pH値5.8  の培養液をセットした

各DWCシステムで、根の生長を比較してみました。

比較テストスタート二日後の3月1日には、すでに根の生長に差が出てきました。

「左 | フィッシュボーンを与えた挿し木苗」の方が

根の数がやや多くなっています。

しかし、それほど大きな差があるとは言えない段階です。

step1

それから二日後の3月3日、根の生長に

差が見えはじめてきました。

「左 | フィッシュボーンを与えた挿し木苗」のほうが根の数が多くなってきました。
step2

5日後の3月8日、根の生長の差は一目瞭然です。

「左 | フィッシュボーンを与えた挿し木苗」の根は、

「右 | フィッシュボーンを与えていない挿し木苗」の根の長さの4倍以上も長く、

ネットポットから伸び出してきています。

step3

3月10日の様子です。

「左 | フィッシュボーンを与えた挿し木苗」の根は、

さらにネットポットから長く伸びたしてきて、

目に見える差はますます大きくなってきました。

挿し木や実生の苗の根をすこしでも多く長く早く伸ばすことのメリットは、

数え切れないほどあります。

step4

たとえば、生長が早い夏野菜の苗をハイドロポニック・システムで育てる場合、

いったんシステムにセットしてから、根がシステムのリザーバータンクまで

届くまでの日数をできるだけ短くすることが、成功へのファースト・ステップです。

小さな苗は、水切れに非常に弱くほんの1日だけ目を離しただけで

しおれさせてしまうことも珍しくありません。

完全に枯れてしまえばリセットして、挿し木や種から再チャレンジができますが、

もしも水切れによるダメージを受けながらも回復見込みがある場合、

再び正常に生長するまで、時間やコストのロスにつながります。

そのため、根がシステムのリザーバータンクや植えこんだ培地へと、

1日でもはやく届いてしまえば、

小さな発芽培地だけが乾いてしまっても、リザーバータンクや大きな培地から水分を

吸収することができるので、水切れで枯らすという、

ハイドロポニック・ガーデナーが、

一番最初に迎える失敗リスクを減らすことができます。

最後の比較写真です。

「左 | フィッシュボーンを与えた挿し木苗」の根は、

長いだけでなく、さかんに分岐しはじめました。

comparison

この状態を物流に例えると「根の本数は、道路の数」、「根の分岐数は、車線の数」

といえるかもしれません。

車線が多く広々とした道路のほうが、同じ時間内で、より多くの荷物を

確実に行き来させることができます。

これは、分岐の多い根をたくさん持つプラントのほうが、

より多くの水分と養分を吸い上げ、老廃物を排出できることと同じです。

根の生長の早さは、このように茎や葉の地上部にも大きく差がでます。

comparison2

花を咲かせ始めるまでに、できるだけ最短の日数で、

がっしりとした茎を伸ばし、葉数をふやし大きくできれば、

光合成量がおおくなり、季節が大きく変わる前に次のステップへ移行し、

病害虫への免疫力も高まり、農薬の心配もなくなります。

なによりのメリットは、生長期を最短にできるので病害虫が発生するリスクを

最小限におさえることができ、

栽培期間全体にかかるコストと手間の節約へつながり、

多収穫なプラントへ育てることが、大きなメリットにつながります。

また、残念なことに、いったん花を咲かせ実をつけたプラントは、

吸収した養水分からつくった糖分やアミノ酸、エネルギーなどの同化養分を

花や果実に優先させるので、根をはじめ茎や葉にあまり送らなくなります。

長くても1年以内に栽培を終える夏野菜などのプラントが、

集中的に根をふやして伸ばす期間は、花が咲き、

果実が大きく肥大するまでで終わってしまうのです。

生長期のあいだに、少しの根しか持てなかったプラントは、

開花 | 収穫の期間に入ってから、季節の変化による気温や日照時間の減少などにも

対応しきれなくなってしまいます。

なにより、収穫物の量や品質がとぼしくなってしまいます。

step5_no_fishbone

生長期のあいだに、根をさかんにふやし伸ばすことができたプラントは、

開花 | 収穫の期間に入ってからも、根の活力が落ちにくいので、

季節や天気の変化にも強く、長期間にわたる収穫物の生産と品質の維持に

耐えることができるのです。

step5fishbone

※今回使用した、小さなDWCシステムは、
(培養液にエアーストーンを入れ育てるハイドロポニックス)

比較テストのためだけに使用しています。

トマトなど1メートル以上に育つ植物をDWCシステムで上手に育てる場合は、

最低でも5リットル、標準で10〜20リットルの培養液がセットできる

リザーバータンクをもつDWCシステムが最低条件です。